その起源は今を遡ること800年前ともいわれる近江商人。その古にして現代的な彼等は、商売のあるべき姿を今に伝えてくれていると思います。今回は近江商人たちからのメッセージを考察してみたいと思います。
近江商人たちは「商い」の大先輩として様々な教訓を残してくれていますが、私は学者ではありませんのでこれを広く、深く網羅するつもりはありませんのでご了承を・・
まずは、近江商人たちの理念ともいうべき「三方善し」
三方善し・ 「売り手よし、買い手よし、世間よし」
これはマーケティングの原点であると思います。商売とは、「売り手も買い手も取引後に大いに満足していること」であると言っている訳です。さらに、近年になって重要視されているソーシャルマーケティング(世間よし)という概念まで入っています。
もしかして、近江商人は日本が誇る世界に通用するマーケッターかもしれません・・・
※マーケティングはコンサルタントの専門領域の柱ですので、機会がある毎にコラムにアップしていくつもりではありますが、より詳しく知りたい方はお問い合わせ下さいませ。お待ちしています。
続いては、数ある近江商人の教訓から私のお気に入りである「商売の十訓」
商売の十訓
1 商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
儲ける利益に後ろめたさを感じる方もおられるようですが、利益の大きさは「提供する付加価値」の大きさです。付加価値に罪悪感を感じる必要はありません。付加価値にそぐわない高価格は問題外ですが・・・
2 店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
経営資源の不足を嘆くより、「如何にお客様に満足して頂くか」に注力したいものです。
3 売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
アフターサービスに対する意識を変えましょう。「アフターサービスはコストではなく、投資」です。
4 資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
「お客様からの信頼」こそ、最高の経営資源です。これはお金では買えませんし、会社の規模にも無関係です。最高の差別化要因です。
5 無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
「お客様にとっての真の付加価値」は、まだお客様もお気づきでないかもしれません。
「心からお客様のお役に立ちたい」と思い、考え続けて初めて見えてくるものです。
6 良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
「本当に良いものは、多くの人に使ってもらいたい」ですよね。多くの人に使ってもらえるならば、より安く作れ、提供できるはずです。そのための広告です。
7 紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
「お客様に喜んで頂くため、何が出来るか?」常に考えましょう。
8 正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
バーゲン、バーゲンでは、元の値段が信用できなくなります。「バーゲンでないと売れないものは、元からその値段は間違っている」のです。
9 今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
「お客様満足の尺度が会計」に表れます。会計こそ経営者の通信簿、しっかり把握して経営改善に努めましょう。
10 商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
「環境変化に合わせて柔軟に、且つ筋の通った経営」で収益を上げ続けましょう。
他にも様々ありますが、特にお気に入りの二つに私の見解を入れ、ご紹介してみました。
ご存知の方も多いとは思いますが、今一度、ご自身の経営哲学を見直す機会になれば幸い
です。 |